- M&Aについて
- 2025.04.23
M&Aについて「売り手と買い手の直接取引に潜む6つのリスク 」
M&Aにおける「直接取引」のリスク、安易な判断が招く落とし穴について
企業の事業承継や成長戦略として、M&A(企業の合併・買収)は重要な選択肢の一つです。最近では、売り手と買い手が仲介業者を介さず、直接交渉を行うケースも見られます。
一見、コスト削減やスピーディーな進行が期待できそうですが、実際には直接取引には大きなリスクが潜んでいます。今回は、その主な危険性について解説します。
売り手と買い手の直接取引に潜む6つのリスク
1.情報の非対称性
M&A取引では、売り手と買い手の間で持っている情報量や質に大きな差が生じることがあります。専門家が介在しない場合、その差が埋まらず、不公平な条件で契約してしまうリスクがあります。
2.適正価格の算定困難
第三者の視点がないまま交渉が進むと、企業価値の正確な算定がされないまま、感情や印象で価格が決まってしまう恐れがあります。その結果、売り手側は損失を被り、買い手側は期待したリターンが得られないケースも少なくありません。
3.法的リスク
契約書の内容が不十分だったり、法的手続きが正しく踏まれていない場合、取引成立後に思わぬトラブルや追加コストが発生する可能性があります。特に「表明保証」「クロージング条件」など専門知識を要する項目の見落としは致命的です。
4.デューデリジェンス(企業調査)の不足
専門家が関与しない場合、対象企業の財務状況、法的リスク、税務問題などを十分に確認できないまま契約に至ることもあります。これにより、隠れた負債や訴訟リスクが後から発覚する可能性があります。
5.交渉力の不均衡
M&A経験の豊富さによって、売り手または買い手が交渉の主導権を握ってしまい、どちらか一方に不利な条件で契約がまとまるケースがあります。公平な立場で取引を進めるためにも、第三者のサポートは重要です。
6.機密情報の漏洩リスク
NDA(秘密保持契約)を締結せずに情報開示が行われたり、適切な情報管理が行われない場合、取引が破談となった後でも機密情報が漏洩するリスクがあります。これは自社の信用や市場競争力にも悪影響を及ぼしかねません。
安全なM&Aには専門家のサポートが不可欠
こうしたリスクを回避するためには、M&A仲介業者やファイナンシャルアドバイザー(FA)、法律・会計の専門家を交えたプロセス設計が欠かせません。専門家は、公平な価格評価、適切なリスク管理、そして法的保護の観点から取引全体をサポートしてくれます。
「信頼関係があるから」、「コストを抑えたいから」と安易に直接取引を選ぶ前に、後悔しないための一歩として、まずは専門家への相談をおすすめします。